フロー

【書評】超人の秘密エクストリームスポーツとフロー体験

エクストリームスポーツと呼ばれるものに挑戦する人はフロー体験をした経験が多言われています。ではなぜフロー体験をしやすいのか?そしてフローに入る条件を導き出し、それを日常に応用できるのでは?という話です。

フローとは?

そもそもフローとは?ということだが、行っている作業に集中して回りが見えなくなるような状態のことです。時間がものすごく短く感じたり、自己認識の意識がなくなったりもします。スポーツをやっている人では「ゾーンに入った」ともいわれ、「ボールが止まって見えた」のような名言もこのフロー体験を表していると言えるでしょう。

このフロー体験ですが、QOLの観点からも非常に大事で、日常でフローを経験している数が多いほど、QOLも高いとされています。また、仕事の満足感ももちろんフローに入る回数が多いほど高く、生産性も同様に高いのです。

現代ではゲームなどがフローに入りやすいものと言われています。個人的にはパチスロが一番フローに入りやすいものですね。あとは読書も定期的にフロー状態になることはあります。日常でこういった経験があるか探してみると、自分のQOLを高めるヒントがあるかもしれません。

エクストリームスポーツとフローの関係

 

エクストリームスポーツとは?

過激な速度や高度をはじめ、物理的に難易度が高い目標などに挑戦する、危険性の高いスポーツの総称。

たとえて言うなら、命綱なしで崖を上ったり、大波に向かってサーフィンをしたり、ビルとビルの間を飛び越えたりと、よく海外の方がやられているような光景を思い浮かべてもらえればと思います。こういったエクストリームスポーツでは、フロー体験の現象と同じようなことを話す人が多く、フローのヒントが隠されているのでは?ということです。

さらに歴史的にも見ても発展のペースが異常であるので、フローの力が大きいのではないか?ということも言われています。エクストリームスポーツとはここ30年ほど前からできたスポーツですが、当時はスキーでいう360°の回転でさえ危険だと言われていました。しかし、現代では1000°を超す回転もやってのける人がたくさん出てきています。この30年の間に人の能力が2,3倍になるわけもありませんから、フローというものをうまく利用していると考えられます。

ではなぜエクストリームスポーツでフローに入る人が多いのか?ということですが、これは簡単です。フローに入るか?or死ぬか?という2択を突き付けられているから。

フロー体験の仕組み

フローを体験したときは大きく3つの体験をしていると言えます。

  • 自己の喪失:自分というものが消えて、感情や感覚もなくなる
  • 時間の喪失:時間のことを忘れてしまう
  • 空間の喪失:一体感。自分と空間の境目がない

これらはなぜ起こるのか?というのを脳波などを分析した結果、各部分で機能低下しているようです。例えば、自己監視をしている背外側前頭葉皮質の機能が低下することにより、自己の喪失が起こっているという体験をするんですね。

そして、<自己><時間><空間>の認識がなくなることで、死への恐怖がなくなってしまうのです。確かに自己がなくなれば不安な感情も抱かない、時間がなくなれば明日のことなど考えない、空間がなくなれば自分という身体的心配もなくなりますからね。

それからフロー時の脳は以下の5つの神経伝達物質が出ているようです。

  1. ドーパミン
  2. ノルアドレナリン
  3. エンドルフィン
  4. アナンダミド
  5. セロトニン

フローに入る外的要因

ではフローに入るにはどうすればいいかというのをエクストリームスポーツから導き出される外的要因で分析しました。

一番はリスクを活用することです。エクストリームスポーツの人々は身体的リスクを負っていますが、これは精神的でもよいということです。例えば、Youtuberになって稼ぐとか。おそらく馬鹿にされたり、無理だと言われ苦しい部分もあるでしょう。そういったリスクでも構わないのです。私の体験ですが、ブログで稼ぐなんて言ってキツイ作業の毎日でしたが、今となっては当時に戻りたいと心から思うこともありますね。あれはフローだったと言えるでしょう。なんでもよいので活動することへのリスクを盛り込むことが大切です。

さらにフローに入るには「多様性のある環境」と「深い身体化」が必要です。

多様性はさらに細分化すると3つにわけることができる。新規性、予測不能性、複雑性の3つです。なぜこの3つが大切かというと、脳が危険やリスクを感じることであるからです。コンフォートゾーンを飛び出すということも同じです。そうすることで今現在に集中せざるを得ないことになります。これらは日常に取り入れることができますね。例えば、通勤経路を少し変えてみるとか、ルーティーンを変えてみるとか。そうすることで集中が高まります。

深い身体化は、体のセンサーを意識することです。足の感覚や手の感覚などいろいろな感覚を感じること。それにより脳が処理できないほど情報が増えることで、脳は危険を察知するのです。そうなればどこかの機能を低下させる必要がありますし、それがフローに入るということにつながります。例えば、禅の歩行瞑想なんかが良いとされています。

フローに入る内的要因

次に内的要因についてです。

こちらも外的要因と同じく、未来ではなく現在に目を向けることを目的とします。大きく分けると「明確な目標」「直接的フィードバック」「挑戦とスキルの比率」の3つになります。

さらに正しいマインドセット持って正しいフローサイクルを回すということも必要不可欠なことになります。

明確な目標

これからの作業単位で明確にしておくことが、注意をそらさずに集中するコツです。

2003年にイリノイ大学の研究でバスケットボールをパスしあっている映像を見せてパスの回数を数えるようなテストをしました。その映像の間にゴリラの着ぐるみが横切るのですが、ほとんどの学生がゴリラの存在を見ていなかったと答えたそう。これを「見えないゴリラ実験」と呼びます。このように集中する対象が明確であればあるほど他のことに気を取られないということになります。

注意すべき点は「目標」ではなく、「明確な」ということです。目標を意識するということは未来を意識することになってしまいますからね。あくまで今やるべきことだけに集中する必要があるということです。小さい明確な目標を何度もサイクルを回すことで、いつの間にか目指す場所へ届くということです。

直接的フィードバック

これは入力と出力の間隔は短ければ短いほどフローに入りやすいというものです。テレビゲームなんかはまさにこの直接的フィードバックが短いものだと言えるでしょう。確かにフィードバックが長い英語学習やダイエットというものは比較的続けにくいものですよね。

成し遂げたいことがある場合は、明確な目標と被るのですができるだけ短い単位で区切ることが大切です。1か月の目標を作成したら、それを毎日、1時間ごとに分割してその結果を受ける。そうすることでこの瞬間に集中することが容易になるということです。

挑戦とスキルの比率

3つの中で最も重要なのが、「挑戦とスキルの比率」です。

これは、難しすぎると不安やストレスを感じすぎますし、易しすぎると退屈になってしまうということです。少しだけ背伸びしてギリギリ超えられるハードルというのが一番良い比率になります。

そして、その難しさの比率がどの程度がよいのかというと、スキルの4%ほど上回るのが最も良いとされているそうです。4%というと難しいですが、数値化できるものから始めるといいかもしれません。僕の場合、ブログを書く時間を計測して、その4%を短くするチャレンジをするとか。こちらも長い期間で4%というよりは、短期的なことで4%ずつ改善をしていき、そのサイクルを多く回すということが大切です。

マインドセットとフローサイクル

マインドセットには、しなかやマインドセットと硬直マインドセットというものがあります。その中でフローに入るにはしなやかマインドが必要な考え方になります。成長したい分野で自分がまだ硬直だと思う部分があれば、まずはこちらを修正していくことが大切でしょう。

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そして正しいフローサイクルを回すことも必要です。

苦闘→解放→フロー→回復というサイクルになります。これは緊張と緩和をうまく利用しているということだと思います。ストレスを与えてそこからリラックスする。それによりドーパミンが放出されてフローに入れるということです。

そして見逃してしまいそうな大切なことが回復フェーズです。フローというのは非常に負荷の大きいことです。そのため、回復がないとフラストレーションがたまり、逆にフローに入りにくくなります。定期的に休みを入れるということを忘れないようにしましょう。

フローのデメリット

もちろんフローにもデメリットというものは存在します。

というのもフローはドラッグと同じようなものであるからです。フローは人の生きる内発的動機を兼ね備えており、自律性、習熟、目的というのは私たちのやる気を最も高めてくれます。

しかし、これらを間違った方向へ追い求めるようになると、身体的・経済的リスクなど生物的プロセスに手を加えてしまうようになります。フローに入ることが生きる目的を与えてくれますが、その理由が死ぬことよりも大切になってくるのです。命を犠牲にしかねないチャレンジをしてフローに入ろうとするのは本末転倒ですよね。

そしてフローの欠如は日々を無気力にするということです。

戦争帰りの兵士は仲間の死などがトラウマでPTSDになるという話をよく聞きますが、これは仲間の死が原因でないことが多いと言います。本当の理由は戦争での高揚感を日々に感じられないといった理由だそうです。一度フローの感覚を知ってしまうと、日常があまりにも退屈に感じてしまうというこれも本末転倒なことになってしまいます。

個人的にもブログ、不動産DIYなどフローに入る体験をしてきましたが、それらが終わった後の日々は確かにつまらない、前に進んでいない感覚がありました。単に映画を見たりダラダラしたりすることが非常に無駄でつまらないと感じがあり苦しみましたね。個人的にはフローのデメリットとして知れてよかったです。

では、このデメリットを避けれないか?ということですが、残念ながらフローの欠如などは避けることはできないそうです。避けるのではなく、この現実を受け入れてまた次のフローに入れるものを見つけるように進んでいくしかないということです。

フローサイクルでいう回復のフェーズだと思い、いろいろなものにチャレンジすることが大切だということでしょう。

まとめ

本書はエクストリームスポーツがフロー体験に入りやすいという観点から、フローに入るための条件を観察しています。

なかなかエクストリームスポーツのような大きなリスクを日常で取り入れることは難しいですが、それでも内発的要因やフローサイクルといったことは参考になると思います。

また、フローのデメリットは単に自分がだらしないだけだと感じていたので、避けることのできない現象だと聞いてなんだかホッとしました。そして自分のフェーズを見極めればデメリットもある程度少なくできそうです。

自分事として日常に様々なフローに入る要因を取り入れてみるといいと思います。